私が学生時代
お世話になった下宿の
おばちゃんに挨拶したいと
母が兼ねてから家族旅行を望んでおりました。
いろんな時が重なり
ついに叶ったはいいけれど
肝心なところほど
なぜか無計画のままで
辛うじて
おばちゃんには会えました。
しかし長崎最大のお祭り
おくんちを見に来たはずなのに
神輿に全く出会えず
ただただ
久方振りの人混みにもまれながら
長崎市街地を観光するはめになりました。
平和記念像
眼鏡橋
名物ちゃんぽん
中華街
それでも
滅多にない
家族旅行は楽しくて
それに
四年間も住んでいた土地へ戻ると
いたるところで
言いようのない想いが
こみ上げてくるのでした。
夕方
フェリーで五島へと渡る
家族を見送った後
(私はなぜか、近所の年配者との付き合いが深かったのです)
友人の陶芸家と再会、
偶然にも
彼は一年半ほど前より
里山再生活動をしているとのこと。
今夜は
お好み焼きマスターに
寝床をお願いしていたので、
なかなか冷めない話を
一旦お好み焼き屋まで運びました。
奥さんが柿を剥いてくれました。
今年の一番目でした。
最後は懐かしい厨房で
少しだけ皿洗いをしました。
真夜中二時
こっそり起き出して
猫にまみれた坂を登り
てっぺんにある下宿の下で
ジャコビニ流星群を待ちました。
今宵は十三夜のお月見でもあるそうです。
さらに街の灯りも明るく
なのに
ひとつだけ、
目を疑うほど
大きな流れ星を見つけました。
無音のおとぎの世界で
星を見上げていたら
夜空に吸い込まれそうでした。
始発に乗るため
駅へと歩く途中、
思いもよらず
浦上天主堂の鐘が響いた
午前五時半
薄暗い石畳の街に
想いを込めて
次の地点へと旅立つのでした。
つづく(^▽^)